日本国憲法25条では
『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』
と規定し生存権が保障されると謳っている
生活保護基準の全国平均額は月額10万円-年額120万円(65歳単身居宅非稼働)ですが、生活保護を受給したときの医療は保障されているが、生活保護を受給しないときの貧困者(恒常的生活困窮者)の医療は法的保障がありません。
老齢基礎年金は、満額でも80万円(月額6万6000円)にもなりません。被保険者の強制加入制で強制徴収される保険料は実質的には事実上の租税(税金)でありますから、月額10万円-年額120万円以下の被保険者の保険料は非賦課(非課税)又は全額免除とすべきです。
貧困者(恒常的生活困窮者)対策(国保料減免等)など、無きに等しい
我が国の社会保障給付費は、年間90兆円【年金給付55%・医療給付35%】その社会保障財源は、社会保険料60%、税金20%程度であり租税負担の減額に対し社会保険料負担が増額しつづけているのが特徴です。我が国をはじめとする主要資本主義国の社会保障制度は、社会保険を中軸とし、その社会保険は『保険原理と公的扶助(社会扶助・生活保護等)との統合形態』(主要財源は社会保険料と税金)によつて実施されています。
お金に色は付いていません(租税と保険料を区別する必要なし)
社会保険料名目であろうと租税名目であろうと国民負担であり『お金に色は付いていません』社会保険方式(租税方式)というが、明確な定義は存在しないものであり、問題は社会保険料と税金によって、国民の医療・介護・老後の生活等を保障する制度の設定である。
生活保護基準はナショナル・ミニマム(国民の最低限の生活保障基準)
全国一律最低賃金制度の存在しない我が国においては、事実上生活保護基準が、ナショナル・ミニマム(国民の最低生活保障基準=貧困ライン)『健康で文化的な最低限度の生活』(憲法25条=生存権)の役割を果たしてきたことは歴史的事実である。
生活保護の全国平均額は(65歳単身居宅・非稼働世帯)年間120万円(月額10万円)ですが(※年金減額訴状参照)我が国最大の医療保険である市町村国民健康保険の2割を超える生活保護基準額、住民税非課税の被保険者に対する減免措置は皆無に近い。
介護保険や後期高齢者医療(保険)制度も基本的に同一
現行の社会保険料の算定算出は、必要経費を被保険者数で除する方式【便宜上『賦課総額方式』という】ですから、賦課総額(必要経費総額)が増額すると保険料が増額します。賦課総額は推計(予想)による見込額であるから、どのようにでも算定算出できる。
事実、旭川市では過去に70億円(国保加入者の年間保険料額)を過大推計して保険料を政策的・恣意的に引き上げていた事実が明らかになったことを旭川地裁が認定し(私の主張を認め)原告勝訴の判決がだされた。これは、一地方のだけでなく全国共通の問題であり現在至っている。
特に、公的社会保険制度は被保険者の強制加入、その保険料は強制徴収(介護保険以後は年金天引き)地方税法等が準用されていることからも租税と同一視できるとし、私の主張を認めた旭川地裁判決の趣旨は貴重である。
租税(税金)名目なら0円(非課税)保険料名目なら10万円程度の負担
・租税(税金)名目なら0円(非課税)
・保険料名目なら10万円程度の負担
租税名目なら0円(非課税)の同一人が社会保険料名目なら10万円程度の負担ができないことは誰が考えても明白である(国民健康保険法6条8号等)
・・にもかかわらず
- 負担は能力に応じて
- 給付は必要に応じて
・・とする社会保障の原則に反してる。
応能割負担(担税力)のないことを熟知しているにも関わらず、わざわざ応益割制度を設定して、生活保護基準以下である住民税非課税の被保険者に社会保険料を賦課徴収することは、生存権侵害であり憲法違反である。

これでは貧困者(恒常的生活困窮者)の医療は法的に保障されていない
国民健康保険法が制定されて、我が国の皆保険制度が実現したとされていますが、同法制定当時から、貧困者は国民健康保険の被保険者適用除外となつています。
その後、法律改定することなく、厚生省(現厚生労働省)の通達で地方自治体の条例により貧困者の国民健康保険加入(被保険者)が認められましたが、今現在も法律改正はされていない。
NHKスペシャル『もう医者にかかれない』で、厚生労働省国保担当者がこう語った
「国保料負担能力なき者は市町村国民健康保険の資格がなく、医療が受けられなくても法律違反でない」 と・・
まさに、このような事態を熟知しながら、何らの措置をしてこなかった立法府(国会議員)の責任は重い。
もう医者にかかれない
~ゆきづまる国民健康保険~
「保険料が高くて払えない」「保険証をとりあげられたため病院に行けない」。日頃、お年寄りの悩みや不安を聞くことの多いNHK生活食料番組(「難問解決!ご近所の底力」「生活ほっとモーニング」などを担当)には、こんな切実な声が今年になって多数寄せられている。
実は今年、全国で国民健康保険料が大幅にアップし、高齢者を中心に混乱が広がっているのだ。原因は税制改革による所得税・住民税の増大。
国は、さらに、国保財政立て直しのために、保険料の滞納世帯を厳しく見直し、収納率を上げる様々な手立てを講じている。その結果、保険料が払えず保険証を返還させられる人も相次ぎ、病気になっても医者にかかれない人も増えている。
福岡市で左官業を営む60代の男性は脱腸の痛みをこらえながら仕事を続けている。保険証もなくお金もないため、下腹をサポーターでぐるぐる巻きにして痛みをしのぐ毎日だ。
番組は、視聴者から寄せられた声をきっかけに、ご近所の底力でお馴染みの堀尾正明アナウンサーが、保険料の値上がりにあえぐ人たちの暮らしを取材。値上げに踏み切った福岡市や、厚生労働省に素朴な疑問をぶつける。
そして、加入者 4700万人の命綱として長年機能してきた「国民健康保険制度」が、今なぜ揺らいでいるのか、その構造的な問題点を解き明かす。安心を取り戻すにはどうすればいいのか、格差拡大の中でのセーフティネットのあり方を考える。
引用:NHKオンラインより
※国民健康保険法6条8号(現在6条11号)【被保険者適用除外】 その他特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの
※国民健康保険法施行事務の取扱について【局長通達】昭和34年1月27日保発第4号第3の①の6=厚生省令で定める者とは『貧困により市町村民税の免除を受けた者等』明らかに保険料(税)負担能力のないと認められる者等と規定され現在も法的効力を有する。
※生活保護の受給の場合は、国民健康保険法6条6号により被保険者適用除外(資格喪失)となるが、医療扶助により医療が受けられる(保険料及び自己負担はない)
最低生活費【生活保護基準】非課税は日本国憲法(14条・25条)の要請
憲法25条の『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』との規定により生存権は保障される
具体的には生活保護基準額が最低限度の基準とされているが、その生活保護の全国平均額は65歳単身居宅借家非稼働の世帯で月額10万円-年額120万円、老齢基礎年金は40年間国民年金保険料を納付した場合で月額6万6千円-年額80万円未満である。
市町村、国保被保険者5千万人の1/5にあたる1千万人の方を生活保護受給にした場合の国保料・税を全額免除した場合の対比
[40万円=120万円-80万円]
- 生活保護費(4兆円)に対する
- 国保料・税(3万円)の全額免除額は7.5%
- 国保料・税(5万円)の全額免除額は12.5%
・・であり
生活保護基準以下の年金生活をしながら、生活保護を受給せず、国保料・税の全額免除【非課税】を求めることは、日本全体の経済…社会保障財源
の国庫負担の縮減になることを考慮すべきであるといえるだろう。
【強制加入制】強制徴収される社会保険料(国民健康保険料・介護保険料等)は実質的、事実上の租税(税金)である(憲法84条)から、生活保護基準額以下の被保険者の社会保険料は、非賦課(非課税)又は全額免除とすべきである。
地代と租税は一致すると言ったマルクス
19世紀マルクスは、封建領主(国家)のもとでの農民の支払う地代と租税は一致すると言ったが(資本論|労働地代という最も簡単な地代のなかで)
21世紀における公的社会保険の保険料【強制加入・強制徴収】と租税とは一致(同一視できる)するといえるだろう。
公的社会保険の保険料(市町村国保保険料や介護保険料等)が租税と同一ならば、租税と同一の取り扱いは当然であり、最低生活費非課税(全額免除)の措置も当然である。
私的保険の誕生は(資本論には、社会保険の記述はありません)我が国の古い文献でも『…社会主義では、保険制度は必然的に不要となり…消滅するだろうとの記述で終わっています。しかし世界の歴史は社会主義社会でも保険制度が存続することを示しています。』21世紀の社会保障制度の確立・生存権の保障を考えるとき『公的社会保険制度の民主的探究』が求められている。
現代日本:高齢生活困窮者の肉一ポンドは血を流しても切れ取れ!
私の好きな話に、中世西欧においてシェイクスピアの『ベニスの商人』という裁判喜劇の中で、シヤイロック(ユダヤ人高利貸=当時悪魔と呼ばれた)は、主人公の一人、アントーニオが嵐の為に難破し返済不能なり、担保になっていた肉一ポンドの返済を要求し裁判となるのだが、血は一滴も流さず肉を切れ取れと裁判官に言わるのである。
※日本の時代劇等の題材にもよく使われ名場面を演出していた
・・が、日本においては国民健康保険料・税や介護保険料・後期高齢者医療保険料[社会保険料]等の賦課徴収は、高齢の生活困窮者・低所得者の肉一ポンドを血を流しても切り取れと裁判官に言わせた最低最悪の判決といえるだろう。
国民健康保険や後期高齢者医療制度における保険料の均等割額(応益割)は古代の『人頭税』と同じ
市町村国民健康保険の保険料(保険税)や介護保険料…後期高齢者医療制度の保険料の均等割は、あまりにも過酷な悪税として廃止されたが、これなど、まさに古代の人頭税【収入・所得に関係なく世帯の人数頭割りで賦課された】そのものである。
賦課総額方式【国保料等の算定】は、年貢と同一
~国民健康保険等(市町村の被保険者)年貢(村請制)~
封建時代の年貢等の賦課徴収は、村請制[領域全体の住民に賦課された]例えば、過去には『中略…棟別は、あらかじめ郷中にその額を明示してあるので、逐電したり死んだ者がいても、その分は郷中で弁償すること。他郷へ移転したしたものがいたら、追っていって徴収すること。家を捨てたり、家を売ったりして、国中をうろつきまわっている者は、どこまでも追っていって徴収すること。棟別銭に対する詫言(いいわけ)は、一切いけない。しかし、逐電や死去が多数のときは、報告せよ、実情を調査して免除することもある。』等の徴収が行われていた。
現在の市町村国民健康保険や介護保険制度
平成20年4月から施行の後期高齢者医療(保険)制度等の保険料・税の賦課徴収も原則老齢年金からの天引き(特別徴収)である。本人の収入(所得)に基づく減免措置もない、保険者の条例に基づく減免は、生活保護基準以下の被保険者は、はじめから排除(適用除外)され、保険料・税を滞納すると制裁措置があり(国保資格証明書等)封建時代の年貢等の賦課徴収とまつたく同一であると言っても過言ではない。