旭川地方裁判所での判決は旭川国保条例は違憲違法と判断し原告全面勝訴
旭川国民健康保険訴訟判決資料(PDFファイル)
旭川地裁判決について資料
旭川国保条例は違憲違法の条例…国保料賦課処分取り消す…原告全面勝訴の判決
旭川地裁判決(98.04.21)について
原 告 杉 尾 正 明
国民健康保険料の賦課処分及び減免非該当処分の取り消し(無効確認)を求める行政訴訟は、旭川市国民健康保険条例は違憲(92条・84条)違法(国保法81条)の条例である。同条例に基づく国保料賦課処分を取り消す。との原告全面勝訴の判決が出された。
判決は、国保料減免非該当処分につき判断されていないが、公的保険(強制加入)の保険料(強制徴収)に租税法律(地方税にあっては条例)主義(憲法84条)の適用を初めて認めた(司法判断)もので(公的保険の保険料が実質的に租税「税金」であること。)意義のあるものです。
国保税についても、国保税はその実質は医療保険である国保の財源を賄うための保険料であり、徴収の手段として税の形式を採っているものと考えられることから、保険料への移行に向けて検討することが適当であるとの動きの中でまた、国保料だけでなく同旨の保険料にも適用されることになるでしょう。
とりわけ2000年4月から施行される公的介護保険に保険料減免制度が措置されていないことは法の不備であろう。(市町村の条例で減免できるようであるが、そのことは災害時等のみであって無所得・低所得者に対する減免は考慮されていない。)国保と同一となることは明白である。
このように、21世紀に向けて住民の抵抗感の強い租税(税金)を避けて、社会保険料(強制加入・強制徴収)による国民負担を強めようとする中での本判決の意義は今後重要性が高まるでしょう。(以下省略)
旭川国保裁判|札幌高裁判決について資料
司法権〔国民の権利救済〕を放棄し、国〔厚生省〕の国保行政を追認するもの
旭川国保裁判札幌高裁判決について
被控訴人〔原告〕 杉 尾 正 明
1999〔平成11〕年12月21日札幌高裁は、国保条例に保険料率を明記していなくても、租税法律(条例)主義(課税要件法定主義・課税要件明確主義)の趣旨に反しない。国民健康保険料を租税と同一視し、租税法律(条例)主義が直接に適用されるものとすることは相当ではない。として、旧国保法時代(昭和28年の国民健康保険料に係る事件)の最高裁判例(昭和33年2月12日判決)を引用した。当時は、市町村民税非課税世帯は国民健康保険に加入できなかつた。右事件は、憲法19条、29条等に関するものであり、本訴訟での当事者間では、争点にすらなつていないものである。
それは、わざわざ社会保障としての国民健康保険制度(国保法1条)を否定し、「相扶共済ノ精神ニ則リ疾病、負傷、分娩又ハ死亡ニ関シ保険給付ヲ為スヲ目的トスルモノトス」(旧国保法1条)が、国民健康保険制度であるとするためである。
旭川市国保条例8条に基づく、保険料の賦課額の総額(賦課総額)及び12条3項に基づく告示は、いずれも「市長」に委任されており、賦課総額は保険料率を算定するための計算要素にすぎず、(原告が主張したのを認めた)また、告示は法規としての性質を有するとした。
したがって、これまで被告らが主張していた賦課総額の議会審議(議決)がまったく無意味であることを自認したものであるだけでなく、地方自治の否定である。団体委任事務ではなく、事実上の機関委任事務であり、条例不要である。
さらに、恒常的に生活が困窮している者について保険料減免の対象としないことは、国保法77条の委任の範囲をこえていないこと、保険料を負担することができない者については、医療扶助が保障されているのに、自らの意思によって右保障の機会を利用しない者について、保険料の負担を求めることは憲法25条に違反しない。これでは、住民税非課税世帯が国民健康保険料10万円を超え、滞納すると被保険者資格証明書が発行されている実態を無視したものである。
2000年からの介護保険の施行による国民負担増は避けられず、本判決は時代錯誤時代に逆行したものであり、国民の権利救済のための司法権放棄、憲法違反の国保行政を追認する反動的判決である。国民の立場からは、到底受入れることのできない判決であり、国民の反撃にあうだろう。
これまでのご支援に感謝し、最高裁での闘いに対する引き続くご支援を願います。
旭川国保裁判 上告にあたって資料
旭川国保裁判 上告にあたって
告示〔掲示板〈封建時代の高札〉に国保料率を定率・定額で公示〕したから〔法規の性質を有する〕合憲適法とする控訴審判決を認めることはできない
上 告 人〔原告〕 杉 尾 正 明
1999〔平成11〕年12月21日札幌高裁は、国保条例に保険料率を明記していなくても、租税法律(条例)主義(課税要件法定主義・課税要件明確主義)の趣旨に反しない。国民健康保険料を租税と同一視し、租税法律(条例)主義が直接に適用されるものとすることは相当ではない。として、旧国保法時代(昭和28年の国民健康保険料に係る事件)の最高裁判例(昭和33年2月12日判決)を引用した。当時は、市町村民税非課税世帯は国民健康保険に加入できなかつた。右事件は、憲法19条、29条等に関するものであり、本訴訟での当事者間では、争点にすらなつていないものである。
それは、わざわざ社会保障としての国民健康保険制度(国保法1条)を否定し、「相扶共済ノ精神ニ則リ疾病、負傷、分娩又ハ死亡ニ関シ保険給付ヲ為スヲ目的トスルモノトス」(旧国保法1条)が、国民健康保険制度であるとするためである。
旭川市国保条例8条に基づく、保険料の賦課額の総額(賦課総額)及び12条3項に基づく告示は、いずれも「市長」に委任されており、賦課総額は保険料率を算定するための計算要素にすぎず、(原告が主張したのを認め)また、告示は法規としての性質を有するとした。したがって、これまで被告らが主張していた賦課総額の議会審議(議決)がまったく無意味であることを自認したものであるだけでなく、地方自治の否定である。団体委任事務ではなく、事実上の機関委任事務であり、条例不要である。
また、恒常的に生活が困窮している者について保険料減免の対象としないことは、国保法77条の委任の範囲をこえていないこと、保険料を負担することができない者については、医療扶助が保障されているのに、自らの意思によって右保障の機会を利用しない者について、保険料の負担を求めることは憲法25条に違反しない。これは、住民税非課税世帯が国民健康保険料10万円を超え、滞納すると被保険者資格証明書が発行されている実態を無視したものである。
2000年からの介護保険の施行による国民負担増は避けられず、本判決は時代錯誤時代に逆行したものであり、国民の権利救済のための司法権放棄、憲法違反の国保行政を追認する反動的判決である。国民の立場からは、到底受入れることはできない。
控訴審は、法令の文理解釈のみで、賦課総額の算定・算出過程の事実認定をせず前記の判決をし、まさに、司法権放棄、かつ、国〔厚生省〕の代弁者となった。原告は、このように掲示板〔高札〕による告示のみで、憲法の趣旨(84条〕を踏まえたとする控訴審判決を認めることはできず、1999(平成11)年12月27日上告した。
これまでのご支援に感謝し、最高裁での闘いに対する引き続くご支援を願います。
国民健康保険訴訟 最高裁大法廷判決について資料
憲法の上に掲示板(封建時代の高札)が立つ保険料率不明示(告示方式)の国保条例合憲
国民健康保険訴訟 最高裁大法廷判決について
上告人(原告) 杉 尾 正 明
2006(平成18)年3月1日…最高裁大法廷は、市町村国保の保険料について、憲法84条の規定が直接に適用されることはないが、同条の趣旨が及ぶと解するべきであるとしながら……国保条例に保険料率を明示していなくても……保険料率算定の基礎となる賦課総額の算定基準を定めた上で、市長が保険料率を決定し……決定した保険料率を告示の方式(市役所前の掲示板に貼る)により公示することを委任したことをもって、国保法81条に違反するということはできず……憲法84条(租税法律主義・租税条例主義)の趣旨に反するということもできない。として……旭川市国保条例を合憲としました。
しかしながら、国保税と国保料との差異は時効(国保税は5年・国保料は2年)以外は…ほとんどが同一であり……国保事業に要する経費の徴収を国保料のときは告示方式が合憲……国保税のときは告示方式が違憲(国保税は、目的税であり…反対給付として徴収されるものであるが〈国保料と同様〉形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用される。)という…最高裁大法廷判決を理解・納得する国民は皆無に近いと言えるだろう。
議会の関与については、賦課総額及び保険料率の決定と告示等について、市長に一任した以上……国保事業特別会計の予算及び決算の審議を通じ、その限度での民主的統制が及ぶことになるとした。これでは、国保加入者をはじめとする住民には、国保料額の決定過程が不透明であって判らないであろう。
生活保護法による医療扶助等の保護が予定されている恒常的に生活が困窮している状態にある者を保険料の減免の対象としないことは、国保法77条の委任の範囲を超えるものではなく……旭川市国保条例の定めは、憲法25条、14条に違反しないと判示しました。
最高裁大法廷判決は、現状の国保行政を追認するものであり、立法…行政に屈服……国民の権利救済のための司法権を放棄した反動的判決であり国民の立場からは、到底受入れることのできない判決であるといえるだろう。
高 札〔こうさつ〕=法度(はっと)・掟書(おきてがき)などを記し……人目をひく所に高くかかげた板札……立札……たかふだ。
告 示〔こくじ〕=国家・地方公共団体などが広く一般に向けて行う通知。
国民健康保険訴訟 最高裁第三小法廷判決について資料
介護保険料特別徴収(年金天引き)は合憲
国民健康保険訴訟 最高裁第三小法廷判決について
上告人(原告) 杉 尾 正 明
2006(平成18)年3月28日…最高裁第三小法廷は、国民健康保険及び介護保険国家賠償訴訟について、3月1日の国民健康保険取消訴訟判決の趣旨に徴して明らかであるといずれも上告棄却……介護保険料料の特別徴収(いわゆる年金天引き)について、地方税法(遊興飲食税の特別徴収)や所得税法(源泉徴収に関する規定)についての最高裁大法廷判決の趣旨に徴して明らかであるとして、介護保険料の老齢基礎年金等からの天引き(特別徴収)を合憲と判示しました。
国保保険料及び介護保険には憲法84条の規定が直接に適用されることはないが、同条の趣旨が及ぶと解するべきであるとしながら……国保条例に保険料率を明示していなくても(いわゆる告示方式)……国保法81条及び憲法84条の趣旨に反しないとして……国保条例を合憲としながら、介護保険料の特別徴収(年金天引き)については、地方税法や所得税法の特別徴収や源泉徴収と同一である(事実上租税と認めた)して合憲とする…最高裁判決を理解・納得する国民は皆無に近いでしょう。
旭川市国保条例に国保料率を定率・定額で規定させましょう
2006(平成18)年3月1日…最高裁大法廷は、市町村国保の保険料について、憲法84条の規定が直接に適用されることはないが、同条の趣旨が及ぶと解するべきであるとしながら……国保条例に保険料率を明示していなくても(いわゆる告示方式)……国保法81条及び憲法84条の趣旨に反しないとして……旭川市国保条例を合憲としました。
しかしながら、国保税と国保料の差異は時効以外ほとんどが同一であり……告示方式が国保税のときは違憲……国保料のときは合憲とする…最高裁判決を理解・納得する国民は皆無に近いでしょう。
道北生活と健康を守る会は、平成18年3月15日 国民健康保険の保険料額の決定過程の明確性を求める市民の立場から… 旭川市国保条例(旭川市国保条例施行規則を含む)に国民健康保険の保険料率を定率・定額で具体的に規定するよう……旭川市長に対し要請…旭川市議会議長に対し陳情しました。
① 憲法29条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
憲法84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。